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2010年3月 9日 (火)

木村政雄『吉本興業から学んだ「人間判断力」』

 何年か前に靖国神社で著者を見かけたことがあります。その時はもう吉本興業をお辞めになっていたと思いますが、穏やかでいい感じの表情が印象に残っています。
 本書は2002年の本ですが、本書で述べられた著者の豊富なアイデアの中には、その後実現したものがかなりあって、感心させられました。目の付け所がいい人だと思います。
 やはりだてに吉本興業で苦労してきたわけではありません。人を見る目ができているのでしょう。本書でなるほどと思ったのは「腰の低い人ほど、権威に頼らない」(32頁)と見ているところです。著者は腰の低さというものを「肩書き権威による判断を避け、ずばり相手の懐に飛び込む」(同頁)姿勢だと考えています。なるほど確かに同僚にそういう先生がいますが、そんな感じです。あとから思えば、意外に本人が言いたいことを言ってしまっているのです。
 また「変」な人間が会社を救う(127頁)というのも、著者流というか、吉本流ですね。著者は「変」な人間は、世の中の常識に浸りきっていないからだといいます。
 私の職場ももう少し「変」というか、面白い人間がたくさんいてくれると不況を乗り越えるアイデアが出てくると思うのですが、発想が凡庸だという点では、偏差値エリートと変わることがありません。その上偏差値はずっと低いので、余計格好がつきません。
 実は別に東大を出ていなくても、学校で優秀だとちやほやされてそのまま学閥なんかを作ってしまうと、実はお役人とあまり変わらないメンタリティーが身につくようです。私の母校の教員たちにもそういうのがいましたから、よくわかります。
 でも、そんなことを続けて学生を無視していたら、大学なんか早晩潰れちゃいますよね。その日は遠くないかも。

(講談社2002年1300円+税別)

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