米原万里『他諺の空似 ことわざ人類学』
ことわざというのは結構世界中で似たようなものが伝えられてきたということがわかります。まあ、人間の愚かさというのは万国共通でしょうからね。人間はみんな結構阿呆で、それも自分が思っているよりもかなり阿呆だということが、残念ながら共通しているのです。
本書は古今東西のことわざを比較しながら、時局を批判するという連載記事がもとになっていますが、話の枕にしばしばエロティックな小咄が置かれていて、殺伐とした気持ちにならないよう配慮されています。というか、シモネタは単なる著者の趣味かもしれませんが。
時局についてはコンパクトに正確な知識がまとめられていて、わかりやすいです。あらためて教えられるところが少なくありません。著者の読書量が半端ではないことがうかがえます。
介護保険の業者がヘルパーからはねる上前は何と8割9割があたりまえだということ(43頁)や、旧電電公社たるNTTは電話の債権を買い戻すと約束しておきながら、制度が廃止されたので勝手に消滅させてしまった(203頁)とか、言われてみると確かに怒らざるを得ないようなことが、さらっと書いてあります。
批判や皮肉満載ですが、さっぱり、カラッとした味わいがいいですね。
本書は最近文庫化されたようです。おすすめです。
(光文社2006年1400円+税)
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