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2010年4月 9日 (金)

石渡嶺司『最高学府はバカだらけ 全入時代の大学「崖っぷち事情」』

 大学進学希望の子をもつ親御さんや大学関係者にとっては必読の本です。著者は全国の大学をしっかり取材していて、確かな情報が得られます。例生活校正な記述で、決して告発本ではありません。
 著者が本書を書いた理由は、大学という組織にある「化学反応」に興味を惹かれたからだそうです。ここでいう化学反応とは「新入生が馬鹿で教職員がアホっぽいとしても、学生の相当数は在学中に成長し、見事にバカ学生から脱皮する」(8頁)ことを指します。
 教職員の立場からすると、学生たちはそれぞれに勝手に脱皮していくので、大学の手柄ではないようにも思いますが、それでも彼ら彼女らが脱皮するために必要な環境を整えておくことは今日ではもはや義務でしょう。
 本書にはもちろんうんざりするようなバカの実例も示されています。バカ学生には単なるどこにでもいるバカ学生だけでなく、偏差値の低い大学区出身者を思いっきり見下す難関大学のバカ学生も含まれています。バカ教職員の例についてもあたかもバカの見本市みたいですが、そんな環境の中でも学生たちはバカから脱皮してくれるのですから確かに不思議です。
 私も毎年卒業年度の学生と話をしては、その思いを強くしています。4年間を無駄に過ごしてきたわけではないんですよね。教職員のバカは何年たっても改善されないのに、学生の方はどういうわけかしっかりしてくるのです。本当にありがたいことです。
 救いはありそうです。著者は本書の最後のところでこう述べています。
 「日本の大学の面白いところは、ろくに改革をしていない大学でも、学生の面倒を見ようとする『まともな』教職員がきちんと存在するところだ」(243頁)
 そうなんです。うちのような「日本一の〇〇大学」なんて呼ばれたことのあるところでも、各学部に少なくとも5人前後はまともな教職員がいます。たぶんその割合は全国どこでもあまり変わらないのではないかと思います。
 進路に悩んでいる受験生は安心してどこかの大学に入って、そこで人生や学問のいい師匠を見つけてくれたらいいのではないでしょうか。うちに入ってくれるともちろん嬉しいですけれど。

(光文社新書2007年740円+税) 

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