勢古浩爾『女はどんな男を認めるのか 10歳からの男と女の基本』
本書は女性にモテるための指南書なんかではないので、念のため。タイトルだけでは、著者の本でなかったら買わなかったところでした。例によって、はにかみ親父のつぶやきのような文章ですが、これが結構癖になるんです。
もちろん本書には著者他の本と同様、文体の魅力だけではなく、鋭いツッコミと共に、オリジナルな内容があります。
まず初めのところに「愛情を得ることはだれにとってもうれしいことだ。しかし、考えてみると、愛には格別にすることがない」(14頁)とあります。言われてみればその通りですが、言われてみないと気がつかないことを書くのはやはりたいしたものです。
同様に、「人と人が出会うとき、一番最初に判断するのはまず、男か女か、である」(80頁)というのもそうで、まず人間とはいかないのがわれわれの宿痾のようなものです。
で、メッセージはさしあたり男に向けて書かれているので、まずは「基本的に信用のできる男」になれということ(150頁)、そして「男か女の人生において、愛するものとともに生きていくことに勝るものはない」(225頁)とまで断言します。
なるほどちょっと驚きですが、恋愛なんかより仕事が大事という単純な硬派の主張ではありません。愛を舐めたらいかんのです。「愛にたいして斜に構えることは意味がない。嘲ってもなんの意味もない。命短し。愛は単純に肯定していいのだ」(234頁)と述べています。
要するに著者は思想家の部類に入る人なのだと思います。いいフレーズがたくさんあります。哲学者や思想家然とした人が必ずしも内容のあることを書くわけではありません。ポーズをとっているだけというのは多々あります。題名に惑わされず読んでみてください。きっと得るところが少なくないでしょう。
(講談社α新書838円税別)
| 固定リンク
« 井沢元彦『井沢元彦の世界宗教講座 「生き方」の原理がなぜ異なるのか』 | トップページ | クリストファー・ソーン『太平洋戦争とは何だったのか 1941~45年の国家、社会、そして極東戦争』(市川洋一訳) »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- ドイツ語で読む珠玉の短編(2026.06.23)
- 山本七平『小林秀雄の流儀』(2019.07.28)
- 田中圭一『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』(2017.02.20)
- 天外伺朗『宇宙の根っこにつながる生き方 そのしくみを知れば人生が変わる』(2017.02.19)
- 柴田昌治『「できる人」が会社を滅ぼす』(2016.12.30)
この記事へのコメントは終了しました。


コメント