井上一馬『英語できますか?―究極の学習法』
英語習得の指南書はたくさんありますが、これは文章も読みやすく、最良の一冊です。斎藤兆史の本が達人を目指す指南書だとしたら、これは十分に使える英語のレベルに到達するためのそれです。英語上達のためにはどのような教材で、どう学習していったらいいかということが、きわめて具体的かつ丁寧に書かれています。
それによれば、最初は半年から一年くらい英語のドラマを見てリスニング力を高め、日常の語彙のストックを増やします。このときリーディングを平行して進めることで、語彙力が相乗的に蓄えられていきます。音読も効果的です。
こうして表現と語彙のストックができたら、言いたいことをつぶやくスピーキングを始めます。このスピーキングはシュリーマンの外国語学習法にヒントを得たそうです。興味があることについて常に作文するのがシュリーマンの方法でしたが、これをスピーキングに置き換えたそうです。ここのところが本書の大きなポイントの一つです。
英語を勉強し直そうとする人にとってはもちろんヒントに満ちていますが、外国語教育全般に応用して、効果的な学習法や教材開発なども考えてみたいと思います。ハンガリー語教育や留学生のための日本語教育にも多くの示唆が得られそうです。
(新潮社1998年1000円+税)
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