井沢元彦『世界の[宗教と戦争]講座』
『井沢元彦の世界宗教講座』(1993年)の増補改訂版ですが、かなり大幅に加筆されています。ユダヤ教については新たに章が追加されていて、宗教紛争についても細かな情報が追加されています。逐一読み比べたわけではありませんが、改めて感心させられた指摘が少なくないので、ほとんど別の本と考えてもいいかもしれません。
以下に「へぇー」と思ったことを挙げておきます。
・イスラム社会はオイルマネーを持っていても映画にお金をつぎ込むことはしない(163頁)。偶像崇拝禁止の規範に触れるからでしょうか。
・浄土真宗は般若心経を読まない。般若心経には絶対的なものは何もないといういわゆる「空」の思想が説かれていますが、阿弥陀如来を絶対化する教義には合わないからだそうです(201頁)。
・貴族が鎧を着ないのは鎧が元々皮で作られていたからではないか(296頁)。動物を殺してその皮を剥いで作ったものは汚らわしいという差別意識が貴族にあっても不思議ではありません。(ところで日本の貴族というのは鳩山元首相みたいなKYの人を思い浮かべればいいのでしょうか。)
これだけ世界が狭くなってくると、日本人がいつまでも宗教音痴でいて良いというわけにはいかなくなってきました。橋爪大三郎の宗教社会学講座と併せて今日読まれるべき必読文献だと思います。
ただし、東方教会があたかもカトリックの三位一体説に異議を唱えているかのような記述は間違っています。アルメニア正教会を除く正教会はすべて三位一体を認めているはずですが。
(徳間文庫2003年590円+税)
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