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2010年7月17日 (土)

E・バートレット・カー『東京大空襲 B29から見た3月10日の真実』大谷勲訳

 第二次大戦中に東京を大量の焼夷弾で焼き尽くす作戦を立てて実行した、あのルメイという人物がどれほど邪悪だったのかを知りたくて読みました。悪魔というほどではないかもしれませんが、地獄行きは間違いないでしょう。戦後にインタビューを拒否したところからみると、本人もこの爆撃が国際法に抵触するものであったことを承知していたのでしょう。

 本書はアメリカ人戦史家による冷静で客観的な記述だけに説得力があります。アメリカ側の史料と日本の側からのそれとを付き合わせながら丁寧に書かれています。しかし、爆撃された側の悲惨さはやはり胸にこたえます。

 アメリカはその後もベトナムやイラクで殺戮三昧ですが、当時も今も軍部の精神はおそらく何も変わっていないはずです。あらためておっかない国だと思います。

 それにしても、B29というのはこれまで何となく無敵のような気がしていましたが、実は突貫工事で間に合わせたという感じの開発で、事故や日本側からの追撃で命を落とした米兵が少なくなかったようです。ときには空襲に行って帰ってきた機体数が70パーセントを割ったりしています。アメリカもかなりぎりぎりのところで戦っていたことがわかります。

 毎年夏になると戦史物が店頭に並ぶような気がしますが、実際には売れているのでしょうか? それはともかくとして、本書はおすすめです。

(光人社NF文庫2001年590円+税)

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