空海著、宮坂宥勝監修『空海コレクション1』
本書には、空海の『秘蔵宝鑰』と『弁顕密二教論』が収録されています。秘蔵宝鑰の面白さは少し前に別の文庫で読んで知っているつもりでしたが、これはまた別の口語訳で、原文の語彙にこだわらずに訳してある感じです。読後感としては本書の方がややあっさりした感じです。
いずれにしても、大日如来のはたらきによって十住心論のレベル10の悟りの段階に飛躍するのは、そうなるんだとしか書いていない上に、そこは言葉を超えた境地なので、議論としての十分な説得力があるわけではありません。密教の修行のポイントはまさにここにあるわけですが、ただ、そこに至るまでの議論の展開の見事さと言葉の美しさはさすがです。
しかし、修行をしてこれが本当に分かるのでしょうか。現代の密教のお坊さんたちは生きながらにして、いわゆる即身成仏という悟りの境地に達しているのでしょうか。機会があったらお話をうかがってみたいものです。
有名な『十住心論』のダイジェストが本書収録の『秘蔵宝鑰』ですが、岩波の思想大系シリーズにあるも手に入れたところです。漢文読み下し文と注釈だけでは難儀しそうですが、近いうちに読みたいと思います。
しかしその前に『空海コレクション2』を読み始めたところです。こちらの方は悟りの境地が描写されている文章を集めたもので、いきなり面白さが炸裂しています。感想はまた改めて書きます。
(ちくま学芸文庫2004年1400円+税)
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