室谷克実『日韓がタブーにする半島の歴史』
本書によれば、かつての先進文明は朝鮮半島から来たのではなくて、中国大陸から日本に直接やって来たようです。そして、実際には韓半島は飛ばされていたことになりそうです。
日本の戦後の進歩的インテリたちは韓半島経由ということを強調し、騎馬民族説なんてのも、それを説く本人が証拠がないと認めたあとも一人歩きして、日韓共に半ば常識と化しています。私の亡くなったおふくろは若い時から心情左翼で読書人でしたが、ご多分に漏れず、この「常識」を信じ切っていました。
事実、最近でも小沢一郎なんてのはわざわざ向こうに足を運んでは、そんなことを言って喜ばれては悦に入っているのですから、この「常識」はかなり根強いものだと思います。
これについては韓国の戦後の歴史家たちの涙ぐましい努力が功を奏したことも、本書が活写するところです。
そんな風潮の中にあって、本書は極めて反時代的な本です。ただ、よくわかるのは、日韓双方共に、半島史の権威と言われる人でも、基本資料をいい加減に読んでは世情に媚びているということです。専門家のいい加減さは特に大学教授によく見られますが、一般読者は大学の先生の論文をふつう眉唾物は思わないので、神話はますます固定化されていきます。
著者は原典を読んで理性に訴えるというストレートな作戦をとっています。説得的な記述ですが、日韓双方の感情的な人びとは意地でも納得しようとしない内容です。
こうした一連の事態を確認するためにも、『三国史記』のような基礎文献には一度自分で目を通しておこうと思います。
(新潮新書2010年720円税別)
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