木田元『マッハとニーチェ ― 世紀転換期思想史』
本書が出ていたことを今まで知らなかったのは迂闊でした。著者の本もまともに読むのは初めてです。もともと雑誌「大航海」に連載されたものだったそうですが、語り口が学術論文調ではなくてのんびりしているのはそのせいかもしれません。
19世紀後半から20世紀にかけての時期は私の専門とする時代でもありますので、本書には色々と教えられることが多く、有益でした。特にマッハと同時代のアヴェナリウスという哲学者については本書で初めてその思想のアウトラインを知ることができました。
また、マッハとニーチェというのは同時代のベストセラー思想家ですが、その思想の内容がこれ程近い関係にあるとは今まで考えていませんでしたし、マッハがフッサールやケルゼンあるいはホフマンスタールといった人びとに与えた影響も解き明かされていて新鮮でした。
個人的には、本書がしばしば引き合いに出す哲学史家のブラックモア氏は知り合いなので、懐かしい気持ちで読むことができました。最近は連絡が途絶えていますが、出版予定のハンガリー法思想史が出たらお送りするつもりです。奥さんが日本人なのでおおよその内容は通じるのです。
本書に若干不満があるとしたら、あっさりしすぎた感のある語り口です。思想史家というのはもう少し粘着系の方がドラマタイズされた本になっていいのではないかと感じました。でも、わかりやすく書くのが著者の真骨頂のようでもありますので、もう少し他の本も読んで、慣れるようにしてみます。
(新書館2002年2800円+税)
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