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2010年8月21日 (土)

呉善花『韓流幻想 「夫は神様」の国・韓国』

韓流ブームたけなわの頃に書かれた『日韓、愛の幻想』を文庫化にあたって改題した本です。

韓流ドラマブームについては、当時私自身は怪訝に思いながら何となくやり過ごしてきましたが、それでもかの「冬のソナタ」やその他いくつかのドラマは見たことがあります。

あの手のプラトニックな純愛の少女漫画的ドラマはとりわけ日本でブームになったのにはそれなりの理由があり、それが、今はなき日本へのノスタルジーだったという著者独特の分析には、なるほどと思わされるところがありました。

日本人が今はなくなってしまった日本的なものを韓流ドラマの中に見出していて、韓国の方はずっと以前から海賊版の日本ドラマや少女漫画を韓国のものと信じて、無意識のうちに絶大な影響を受けていたという込み入った話です。

でも、言われてみればそうかもしれません。発禁本のように、文化は禁じているとかえって浸透するというのは本当でしょう。かつて発禁になった伊藤整訳『チャタレイ夫人の恋人』などはおそらく各家庭に一冊はあったのではないでしょうか。

日本と韓国を比較すると、まるで合わせ鏡のようにそれぞれが自分の姿を再認識できるというのが著者の主張です。本書にも一見対照的な両国の文化を比較することで見えてくる興味深い話がたくさん登場します。

韓国の結婚生活の実態は友人の在日韓国人たちの家庭の話とも符合します。ただ、恋愛では猛烈にアタックする情熱的な韓国人男性が、結婚したら浮気三昧で暴力亭主になることが多々あるというのは、文化の違いではあっても、女性からしたらもうちょっと変わってほしいところでしょう。

また、男女ともに整形手術に抵抗がない国柄だというのも日本人からしたら不思議ですね。大統領自ら整形するくらいですから。

比較文化論の副読本として、学生たちにも是非勧めたいと思います。

(文春文庫2008年552円+税)

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