日垣隆『ダダ漏れ民主主義 メディア強者になる』
ブログやツイッターを通じて、政治家のオフレコの話がどんどん漏れてしまうというのは、民主主義にとって慶賀すべきことなのかも、という本です。新聞やテレビなどの旧態依然のメディアの凋落ぶりと併せて、今後考えておかなければならない問題が可能な限り提起されています。
いつもながら、ヘェーっと思わされたことを以下に挙げてみます。
・1970年代までの社会党も共産党も「自衛隊は違憲だから存在しない」として、「存在しないものの予算審議には応じられない」という論理をかざし続けて、自民党単独政権時代に何のチェックも入れず軍事予算を増やし放題にした(7頁)。
・故吉行淳之介には何人もの愛人がいて、奥さんも含めて4人が没後に本を出している。ちにみに宮城まり子は愛人だったんですね。奥さんだとばかり思っていました(93頁)。
・石原慎太郎は都知事選の最初の立候補表明直前に、某誌編集長を拝み倒して隠し子の件を伏せてもらっていた(174頁)
・精神鑑定人として著名な福島章氏は先般無罪が確定した菅谷利和さんについて54頁におよぶ精神状態鑑定書を作成し、被告人が性障害で「小児性愛者」であると強引に結論づけている。「福島先生、あなたの辞書には反省という文字はないのですか」と著者は述べています。(200-201頁) 温厚な紳士然とした外見の人ですが、結構な悪人だったようです。
・帝京大学の吉井富夫講師は、警察庁の科警研や東京歯科大学が不可能とした横田めぐみさんの遺骨のDNAの個人識別に唯一成功したことになっているが、この結果は今もって誰も検証していない。英国の科学雑誌「ネイチャー」なども疑問を表明している。吉井氏は現在警視庁の科学捜査研究所に移籍しており、この遺骨問題については完全に箝口令が敷かれている(207-208頁)。相手が北朝鮮だからといって科学を無視するのはやはりおかしいでしょう。
今やいろんな人が様々なニュースの現場に自ら出向いて体験し、可能なことには参加するようになってきました。不特定多数の大勢がリアルタイムで参加できるメディアがすでに登場して久しいのです。
そこでどうすればいいかというと、著者は「そんなものは簡単である。よく本を読み、優れた人の話を謙虚に聞き、実際に行なわれている現場に足を運ぶ。それだけのことを厭わなければいい。人並みの才能しかなくても、その才能に全力を傾注し、他人の小さな工夫を何十か何百かを取り入れていけばいいだけだ。そうすれば必ず収入は増え、代替可能な労働時間は激減してゆく」(247頁)と言います。
そうかもしれません。やってみなきゃわかりませんが、勇気づけられる本です。私も10月くらいから多少自分の時間を作り出すことのできる勤務形態に変わる予定です。がんばってみます。当面収入は増えないでしょうけれど。
(講談社2010年1000円税別)
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