日垣隆『知的ストレッチ入門 ―すいすい読める 書ける アイデアが出る―』
2006年の単行本の増補文庫版です。文庫になって7章と8章が増補されています。iPhoneとTwitterあるいはキンドルなどの最新のメディアについての基本的な考察が付け加えられました。
たくさん本を読んで、調べて、考えられるだけ考えて書くという著者の方法は極めてオーソドックスなものですが、その量たるや出入力ともに凄まじいものがあります。
なにしろ一日に20冊以上読んでしまうこともある人ですから、量の点では真似できませんが、私も以前から少しでもあやかりたいと思ってきました。本書にはそのコツも惜しげもなく披露されています。もっとも、コツというのはそもそも会得するのが簡単ではないのですが。
さらに本書では手帳や本棚、机や電子辞書などにも具体的に触れられていて、そうした便利グッズのことを考えているだけでも、多少は著者にあやかることができそうな気分になれます。iPhoneとKindleは買おうかな。
ちなみに、実は私もキンドルんついてはすでにPC版をダウンロードして使っていますが、ベーコンやミルの著作集なんかでもあっという間にダウンロードできて、値段も5ドルくらいですから、確かに革命的です。
一般的な英語の本だったら、図書館に足を運ばなくてもどうにかなります。今日において知識はどんどん有機的かつ密接に関わっていく時代を迎えているようです。プロと言われる人たちは肩書きに頼るのではなく、常に自己研鑚を怠らず、内容で勝負しなければ、あっという間に嘘がバレる時代になったということでもあります(もうなっていますが)。
少なくとも、横のものを縦にするだけでその道の専門家のような顔をしていたかつての大学の先生タイプの知識人は、もはや立つ瀬がないところにまで追い込まれています。幸いにも彼らを雇うマスコミ自体が記者クラブ的談合体質にどっぷり浸かっているため、まだまだ生き残っています。
しかし、新聞の宅配システムが崩れ始め、人びとのテレビ離れも進んでくると、つまり、マスコミが力を失ってくると、こうした希少生物もいずれは姿を消すことでしょう(そうした知識人を供給する大学というのは、マスコミ以上に危ないのですが)。
それはともかく、新しいメディアを扱っても、おっちょこちょいな予言をしては大外れする評論家が少なくない中で、本書は最新でかつ今後長い間にわたって古びない本だと思います。
(新潮文庫平成22年514円+税)
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- ドイツ語で読む珠玉の短編(2026.06.23)
- 山本七平『小林秀雄の流儀』(2019.07.28)
- 田中圭一『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』(2017.02.20)
- 天外伺朗『宇宙の根っこにつながる生き方 そのしくみを知れば人生が変わる』(2017.02.19)
- 柴田昌治『「できる人」が会社を滅ぼす』(2016.12.30)
この記事へのコメントは終了しました。


コメント