蛇蔵&海野凪子『日本人の知らない日本語』『日本人の知らない日本語2』
これ爆笑ものです。漫画の絵も可愛くて実に良い感じです。日本語学校での大笑いのエピソードが日本語の蘊蓄とともにまとめてあって、勉強になります。
わたしも日本語教育とは留学生別科の教務主任という形で間接的に関わって、かれこれ8年になります(日本語を教えていたときもあります)。日本語学校と違って、どちらかというと実利的な中国人学生がほとんどという環境なので、残念ながら、本書に出てくるような日本文化やアニメに惹かれて日本にやってきたヨーロッパのオタク系学生はあまりいません。それでも、アニメを通じて会話が抜群に達者になった留学生はちらほらいます。また、コバルト文庫を何冊も読破して試験で満点に近い成績を上げた学生もいました。日本のサブカルチャーの力は偉大です。
本書では「お控えなすって」と挨拶をする高倉健ファンのフランス人マダムとか、「先生は忍者ですか、武士ですか」と聞いてくる時代劇オタクのスウェーデン人とか、ルパン三世の出で立ちのアメリカ人とか、もうホント面白すぎです。
そういえば、わたし自身のささやかな経験でも「何かろくなものはありますか?」という日本語に一瞬戸惑った覚えがあります。ろくでもないとか、ろくなものはないとか、「ない」とセットで使いますが、単独の肯定表現は使わない言葉だったかと、そのとき気がつきました。
しかし、そう思っても、過去の用例を調べるとあったりするかもしれません。そのあたりが日本語教師の悩ましいところなのでしょう。由緒正しくても、今は使わないという言葉もありますしね。
ネイティブ日本人であっても、何十年もの長い在外生活では次第に日本語が変質し始めます。本書にも外国の日本語教科書の異様な表現が載っていますが、そんな本でも一応ネイティブチェックは受けているはずなのです。
私もかつて外国の日本語教科書で「そんな子どもらしいことはやめてください」という例文を見てたまげたことがあります。それを言うなら「子どもじみた」とか「子どもっぽい」でしょう。
しかし、戦前の小説やエッセーには、この意味で「子どもらしい」という表現が見られないこともないのだと後で気がつきました。まあ、今は言わないこんな言葉にしてもそれなりに奥行きがあるようで、本当に日本語畏るべし、です。
ところで、先日英語を教える同僚の先生と、世界に蔓延する間違い英語(ネイティブの感覚でヘンな英語や爆笑英語)をブログで募集して、それを日本語で解説して本にしてはという話になりましたが、それでもここまで売れる本にはなりそうにありません。ところでその先生はブログを始めているでしょうか。英語でブログを作るのは面倒くさいとか言っていると、誰かに先を越されてしまいそうです。
(メディアファクトリー2009年、2010年、各880円税別)
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