奥田英朗『家日和』
人を見る目が温かい作家です。でも、怖いくらいよく世の中を観察して、登場人物として感情移入されているのも特徴です。よくもまあここまで調べたりこだわったりしているものだと感心させられる箇所がいくつもあります。
この短編集は人が和む場所について書かれているという点で共通しているようです。かなり笑えて、ほっとして、ときにしみじみと、ちょっと切なかったりもして、いい短編集です。
作家とちょっとばかり等身大のようなキャラクターも出てきて笑わせてくれます。「愚にもつかないお笑い小説」を書く「奥山英太郎」という作家や、ロハスに凝る妻や近所の人たちをからかって書いてしまって進退窮まりそうになるN木賞作家とか、あるいは夫が無謀なビジネスに手を出すと決まっていい作品を書くイラストレーターなんかは結構切実なリアリティがあるように読めます。
まあ、これも計算の上でしょうから、この作家のエンターテイナーぶりは見事だと思います。読むたびにすごいなあと思わされます。
解説が益田ミリの漫画になっていて、これがまたいい感じです。漫画による解説なんて初めて見ましたが、結構いいものですね。
(集英社文庫2010年476円+税)
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