平井亮輔編『正義―現代社会の公共哲学を求めて―』
本書が出た当時、著者の一人の中山竜一先生が贈ってくれた本です。贈られた手前、中山先生の書かれた最終章だけを読んで、あとは放ってあったのですが、このところ「手続的正義」について考えていることもあって、今頃ようやく全部の論考に目を通した次第です。
現代正義論の主要な論者の学説の概要と議論全体の傾向がつかめる便利な本です。大学のテキストとして使うのには適しています。ただ、この業界の人の文章は―私もその端っこのそのまた端くれにいるのですが―おしなべて実に読みにくいのです(これは傍流の私にもあてはまります。反省してます)。いうまでもなく一般読者向けにはなりえません。
比較的若い著者が多いので、難解さに開き直るほど図々しくなくて、それなりに工夫されていますが、まだまだ門外漢にとって何が理解の壁になっているのかということについての著者の配慮は不足しています。今どきの大学生にはわからないことだらけでしょう。
なお、手続的正義についてどんな議論がなされているかと思って読んでみたのですが、ロールズがただ一人取り上げているだけで、他の論者の議論には出てきませんでした。でも、それがわかっただけでも個人的には収穫がありました。ロールズの原書の該当ページも注記されていて親切です。
本書では、おそらく多くの人がどこかで一度は耳にしたことがあるビッグネーム、すなわちロールズやセン、マッキンタイアー、ドゥウォーキン、ラズ、それに最近話題のサンデルといった人びとの議論が丁寧に追いかけられています。あと、ハーバーマスなんかも。興味のある方はどうぞ。あ、中山先生は現代フランス思想について書かれていました。ここは毛色が違いましたが、そつなくまとめられていてさすがでした。
これはこういう本でいいのですが、同じ著者たちが根本的問題を一から議論した論文集というのも読んでみたいものです。この業界では難しいのかもしれませんが、たとえ学界の重鎮から生意気だなんて言われても、めげずにオリジナルの思考にチャレンジしてほしいものです。
そんなことおまえやれって言われそうですが、一応やってるつもりなのです。一部の人びとからは熱く支持されていますが・・・、またがんばります。
(嵯峨野書院2004年3000円+税)
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