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2010年9月 6日 (月)

大前研一『ビジネス力の磨き方』

著者の本は初めて読みましたが、ほんと面白いですね。元気と気合で一杯の本です。著者の頭の中にはアイデアがぎっしり詰まっている感じです。著者の思考法は、相手の立場に立って論理的に思考実験を重ねるやり方ですが、何人かのユダヤ人の友人の思考法と似ているなと感じました。こういう人は話をしていると次から次へとビジネスのアイデアが出てくるのです。

ひょっとしたら、マッキンゼーという会社にいると、こんな思考法が自然と身につくのかもしれませんね。そのポイントは、現在どんな力がその場に働いているか、ということと、それを未来に早送りしたイメージを描いてみるということです。大前流の言い方では「先見力」ということになります。

しっかり未来が見えたら、あとは決断力ですね。もっとも「正しい判断を下すためには、相当な時間をかけて広く業界の内外の人の意見を聞かなければならない」(33頁)わけで、そこでのフットワークの軽さが大事だということも、あっさりと書かれてはいますが、これが凡人にはなかなかできないんですよね。

本書の中の著者のアイデアに感心させられたのは、北海道にサマータイムを導入するというものです。北海道だけ時計の針が1時間ないし2時間進めば、日付変更線の関係から、北海道が世界で一番早く市場が開く地域になり「世界中の銀行や証券会社が、こぞって北海道史上にトレーダーを投入することいなる」(58頁)という読みです。この案は、お役人の頭が硬くて実現を見ませんでしたが、今でも再考に価すると思います。

こうした案がひらめくのは、日頃の訓練の賜物だと著者は言います。著者の天才によるものだと普通なら思うところですが、著者は「もし自分が当事者だったらどうするかという具体的なケーススタディを、それこそ無限回繰り返す」(90頁)のだそうです。われわれもというか、私も文字通り無限回やってみてから、それが天才によるものかどうかを判断してもいいように思います。

アイデアも決断力もない人が経営者をしていると悲惨なことになりますし、そういう企業のことは私もゆえあってよーく知っていますが、とにかく今努力をして結果を出したリーダーが、後に優秀な経営者と呼ばれるだけのことです。今ここで頑張ってもらわないと話になりません。

本書では実際に本書の執筆時に登場したiPhoneが全世界的にヒットするという予測を立てていますが、その通りになっています。お見事! 最後の章で農業の再生を説いていますが、これも現実のものとなる可能性は大いにありますし、実際すでにチャンスを掴んだ若い農業経営者が全国から少しずつ出てきています。

大学経営にもいろんなヒントを与えてくれる本です。今や明らかに大学冬の時代だからこそ、かえってチャンスはありそうです。

(PHPビジネス新書2007年800円税別)

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