池田清彦『楽しく生きるのに準備はいらない』
自由を何よりも愛する著者は言います。「自由で上品に生きるとは、自分の努力と才覚で生き、結果に対して自分で責任を引き受けることをいう。基本的に国をあてにしてもいけないし、信用してもいけない」(40頁)。
もちろん、みんなが勝手に生きてもうまくいかないのですが、ここで重要なのが「上品さ」です。そういう生き方の原理原則はやはり必要なのですが、著者の場合、このことが実にシンプルでわかりやすく説かれています。アメリカの政治学者、法哲学者の自由に関する議論の複雑さを思うと、なーんだ、これでいいんだと思わされます。
専門の学者なこんなことをややこしく言うのが商売ですから、仕方ないですが、少しは著者を見習ってほしいものです。でも、簡単に言ってしまったら、わが国の翻訳・解説担当の学者たちがやることがなくなってしまうかもしれません。
著者の指摘でなるほどと思ったのは「人生で一番大事なのは、才能の有無ではなく、楽しく生きられるかどうかである。そこまで考えれば、楽しく生きられる、というのが、実は一番重要な才能であることがわかる」(72頁)という箇所です。
そのほかに「人を愛するということは、基本的に他人に迷惑をかける行為なのである」(206頁)という指摘も面白いと思いました。また、老人の正しい生き方(113頁)というのもありますが、これは18禁です。ここには書かないので読んでみてください。ただ、実際に実行するのは難しそうです。
(青春出版社2010年743円+税)
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