橋爪大三郎『だれがきめたの?社会の不思議』
小中学生に向けた書かれた社会科副読本です。基本的なことがらが懇切丁寧に説明されています。生徒たちとの対話篇という体裁で、教室の実況中継という感じです。ちょっと生徒たちがいい子すぎるきらいはありますが。
人生の基本問題について、生や死、結婚や家族といった問題に正面から答えてくれます。たとえば、神様はいるのかという問いに対して、いると考える場合といないと考える場合とどちらの立場の意見もわかりやすく説明してくれます。どちらにしても「ちゃんとした生き方」につながるという答え方は、なかなかいい感じです。
また、著者は、チョコレートの1円硬貨があったらどうしますか、という問いかけをします。生徒の「食べたほうがいい」という答えを引き出して、お金はお金そのものよりも安い材料でできている、ということを説明するあたり、実に上手ですね。コストが安いから偽札ができるということも含めて、授業で使えそうな例です。
思えばこの年頃で不思議に思うことはたくさんあるはずですが、ちゃんと考えないうちに大人になってしまうので、後々道に迷うのかもしれません。しかし、本書を読んで視点を定めておくと、少なくとも「自分探し」をいつまでもやっているようなことにはならないような気がします。
各章末のコラムも、話題が多岐にわたって、内容も充実しています。お父さん、お母さん方へという注もあり、親御さんにも気を遣っているという、実に行き届いた本です。
早速娘に読ませてみて、感想を聞いてみます。本書を読んでちょっとだけ大人になってくれると嬉しいです。
(朝日出版社2007年1,500円+税)
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