土屋賢二『ツチヤの口車』
本書はどこかで一度読んだような気もしながら、文庫で改めて読んでしまいました。そうしたら、本文中に次のような記述が・・・
「わたしの本は味わいこそないものの、しつこく後まで心に残ることがない。コクはないが、キレがいいのだ。読んで五分後には内容を忘れるから、うまくすれば、本を買ったことも忘れてしまう。そうなれば、その人は同じ本をもう一度買う可能性がある。詐欺の被害者を狙う詐欺があるが、ダマされた人間は何度でもダマされるものだ」(188頁)
と、まあその通りで、ダマされているのかも。実は本棚を整理しているうちに、以前読んだ著者の単行本が一冊出てこなくて、その文庫版が本書かどうかもわからなくて、本書を読んだ後もやっぱりわからないままなのです。
というわけで、私は著者からすると理想的な読者と言えるでしょう。表彰を受けたいくらいです。でも、ま、いっか。この論理の飛び方と、自分を笑いのネタにする手法は、いつ読んでも面白いし、感心させられます。確かに内容は覚えていませんが、何だかそんなことはどうでもいい感じなのです。
これに懲りずに、著者の本で未読のものがあったら見つけて読むつもりです。
(文春文庫2008年467円+税)
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