斎藤美奈子『誤読日記』
著者の文春文庫の最新刊で、刊行順に読んでいって最後になりました。まだ他の版元で未読のものはありますが、読み終えるのがちょっと名残惜しい気がします。
本書は著者の書評を集めたものですが、とにかくいろんな本が俎上に乗せられて、ぐさり、ばっさりとやられます。他人事だから笑えますが、やられた方は生涯立ち直れないのではないかと思われるほどです。
でもまあ、いわゆるベストセラーになっているものの中には、世評に惑わされずにユーザーの視点から見ると、涙ぐましくも愚かな記述が結構あることがわかります。
本書は自分でものを書くときに同じ轍を踏まないようにするという点で、よき指南役にもなってくれます。やっぱ、どう見てもこれは恥ずかしいでしょ、という客観的な視点を失わないようにするためには、著者の毒舌を思い出すのが一番です。
また、一方で、著者が評価する本は間違いなく面白いので、読書指南にもなってくれます。ちゃんと読まずに仲間ぼめとか党派的思考で書評する輩が少なくないので、書評を信じて買って読んでみてがっかりしたことは少なくありません。この点、著者の評価には外れがありません。
そして、やはり魅力的なのは著者の文章力です。この筆力は真似できません。もっとも、わが国で研究論文にこんなおそろしい文章を書いたら、学会にいられなくなること請け合いです。
しかし、私なんかは学会はどうでjもいいので(そもそも相手にされていませんが)、今後よりいっそう著者にあやかりたいと思っています。まだまだ修行が足りませんが。
(文春文庫2009年829円+税)
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