« 海老原嗣生『「若者はかわいそう」論のウソ ― データで暴く「雇用不安」の正体』 | トップページ | 斎藤美奈子『誤読日記』 »

2010年10月 2日 (土)

日垣隆・岡本吏郎『楽しく稼ぐ本』

本書に登場する数々のダメな経営手法というのが、え、これうちのことじゃん、と思い当たることが結構あって、背筋が寒くなります。今後の身の振り方も考えておかねば。

さて、本書では、経営のセンスがカジノのセンスと極めて似ていることがわかったのも新鮮でした。日垣隆は外国で自分の子どもたちにお金を渡してそのあたりの呼吸を実体験させているそうで、すごいオヤジだなと改めて感心します。

個人のアイデアで勝負をしている場合、値段を上げるのががかなり有効な手段だということが分かります。消費者心理は面白いもので、5,000円と5万円の商品を並べておくと、5万円の方が売れるのだそうです(66頁)。値段を上げることでそれに見合う商品を作ろうとするようにもなり、商売人として成長できるとは岡本氏。

確かに、薄利多売ばかりを頭においているようでは、いずれ中国やベトナムに負けてしまいますし。

このほか、飲食店は3年経つと、どこも不思議なくらい売上が落ちることとか、クレーマーの切り方とか、問題解決能力の低い人はマクロの話が好きだ、あるいは財務諸表のバランスが良すぎるのは次の手を打てていないということで、危ない、といった話が印象的でした。

下位二割のダメ経営者は、見たくない現実を直視できず、現状維持をはかることしかできない。窮地に陥れば陥るほど、脅迫反復のように、同じことの繰り返ししかできなくなると言います。そして、実際そういう企業は確実に潰れています。

補助行政の対象で、経営マインドが存在しない全国の弱小私立大学は(私の勤め先も含む)は、はたしていつまでもつことでしょう。こういうときにトップの決断が遅いとしたら致命的なのですが、今重大な局面に差し掛かっています。くわばらくわばら。

(大和書房2010年648円+税)

|

« 海老原嗣生『「若者はかわいそう」論のウソ ― データで暴く「雇用不安」の正体』 | トップページ | 斎藤美奈子『誤読日記』 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。