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2010年11月 9日 (火)

H.P.マルチュケ=村上淳一編『グローバル化と法―〈日本におけるドイツ年〉法学研究集会―』

最近読んだ本の中で、本書所収のグンター・トイブナーの講演(論考)を是非とも読むように、と薦められていたので読んでみました。なるほど重要なことが書かれていました。シンポジウムの基調講演にあたるものですが、今日の法が単純なピラミッド型権力支配の道具にはなりえず、部分的な法秩序の緩やかなネットワークによってつながっている慣習法的な性格を持つに至ったことがうまく表現されています。

トイブナーはN.ルーマンの弟子らしく、師匠の理論的枠組みを活かしたかたちで論じていますが、この講演を受けた村上淳一の論考では、法社会学者エールリッヒの議論にも触れながら、学説史を概観していて有益です。

特にルーマンの仇敵でもあったハーバーマスとその弟子であるギュンターによる対話的正義の立場からの批判に再反論するところもフォローされていて、議論に広がりが出ています。日本人の学者らしく勤勉かつ親切なフォローです。

私の専門の法哲学的にはこの最初の論考がもっとも面白く読めましたが、民法、公法、経済法、国際法、刑法、さらに法曹要請という都合6つの部会の議論もそれぞれに参考になりました。

科研費の申請が通ると、自分でこんなシンポジウムを企画することになるのですが、そのときは大いに参考にさせてもらうつもりです。「法学研究集会」なんて、結構うまく使えそうな名称で素敵です。

(信山社2006年3800円税別)

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