スティーヴン・D・レヴィット、スティーヴン・J・ダブナー『超ヤバい経済学』
前作『ヤバい経済学』が面白かったので、増補版まで買って読んでしまいましたが、これはその第二弾です。行動経済学のようでそうではなく、エコロジストなのかと思えばそうでもなく、机の上だけの冷たい経済学ではなく、ちょっとだけ熱い経済学の著者たちが、虚を突くような意外な問題に対して確なデータを示すことで、より深い理解へとたどりつくヒントを与えてくれる、という本です。いかん、説明が長くなってしまいました。
具体的には、
1.インドでは女性の命が軽視されていて、人口比でも女性が男性より5000万人少なく、毎年10万人を超える若い女性が家庭内暴力で実際に焼き殺されている(「嫁焼き」というそうです)。
2.ハンガリー出身の医師ゼンメルワイスは産褥熱の予防法を発見したことで知られるが、産褥熱の原因は医者が手を洗わないことにあると正しくも指摘したため、医者たちによって精神病院に入れられて拘束され、2週間後に亡くなった。
3.オマキザルに貨幣を使うことを学習させたら、ほどなく貨幣の強奪が起こり、売春行為も見られるようになった。
といった話がたくさん載っています。温暖化する地球を冷やすための、大胆な二つの安価な方法も紹介されています。
とにかく滅法面白い本でした。授業でも学生たちに紹介するつもりです。
それから、原書と読み比べたわけではありませんが、見事な訳文に感心させられました。大学の教室の英文購読授業から出てきた翻訳者は、テキストを見ながら平気で生硬な訳語を使うことが少なくないのですが、翻訳者はアメリカでマスターを取っているという経験を十分活かしているように思います。
(望月衛訳、東洋経済新報社2010年1900円+税)
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