ダン・アリエリー『予想どおりに不合理』熊谷淳子訳
行動経済学は人間が合理的な生き物ではないことをいろいろと実証してきていますが、本書はそこをさらに一歩進めて、人間の不合理性には共通性があり、予測することもできるという主張を展開しています。
本書のタイトルそのままの主張ですが、まあ、みんなおバカな展では共通しているということです。合理的経済人モデルが破綻しているというだけならあまり生産的ではありませんが、本書の立場は積極的で好感が持てます。
著者はいろいろな心理実験を大学生や一般人相手に試みていて、その発想は自由で創造性に満ちています。同じ偽薬でも価格の高価な方がよく効くという実験によりイグ・ノーベル医学賞をもらったりしています。
私は比較文化論の授業で行動経済学の実験結果を題材に議論することがありますが、異文化の摩擦ばかりでなく、人間は皆おバカな具合が共通しているという実例として考えてもらうことにしています。サンデル先生よりももっと笑える授業を目指しています。これを楽しむにしかず、といきたいものです。
本書も心理実験例として題材に適したものがいくつかありました。早速使ってみたいと思います。
それから、翻訳文が実に読みやすくリズムがよくて感心しました。訳者は相当力のある人なんだろうなと想像します。こういう人が中村妙子なんかの代わりにルイスやセイヤーズの翻訳をしてほしいものです。
(早川書房2008年1800円+税)
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