八代京子・町惠理子・小池浩子・吉田友子『異文化トレーニング ボーダレス社会を生きる』
授業で異文化コミュニケーションを教えることがあるのですが、この分野はなかなかいい教科書がなくて難儀していました。植民地支配型のアメリカ人が異文化に驚いてみせるという白々しい理論書(とその受け売り教科書)はあるのですが、理論と感受性のレベルが低すぎてお話になりませんでした。
本書はその点で初めて水準以上の優れた教科書が出たと言っていいと思います。著者たちは「はじめに」にあるように、海外生活経験が豊富で「異文化での試行錯誤と当惑からくるストレスを十分に体験し、それを克服してきたし、今でも失敗を繰り返しながら、それらの失敗から学んでいる身である」とのことです。
著者たちは大学での講義の経験も豊富なため、授業に使える実践的トレーニングが豊富に収録されています。これは大いに参考にさせてもらうつもりです。各トレーニングはよく考えられ、練り上げられたもので、すでに一つ使わせてもらいましたが、学生の評判も上々でした。著者たちの講義もそれぞれの大学で人気が高いのだろうと思われます。
教科書としてだけではなく、読み物としても十分楽しませてくれます。この分野に関心がない人でも面白く読めると思います。私が講座担当だったら新しい教科書に指定したいところです。
(三修社2009年2740円)
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