R.セイラー、C.サンスティーン『実践 行動経済学―健康、富、幸福への聡明な選択』遠藤真美訳
ここ数年で行動経済学の本が沢山出版されて、フォローしきれないくらいですが、本書はこの分野では有名なセイラー教授と法哲学者のサンスティーン教授の共著ということなので、読んでみました。
法哲学や政治哲学に行動経済学の視点を取り入れると、著者たちによれば「リバタリアン・パターナリズム」になるようです。自由主義的でありながら大枠では面倒を見てもらうという、放蕩息子の帰還のような感じです。
子どもは自分の行動を自由に選んでいいけれど、行動の選択肢は保護者が設定していると言い換えるとわかりやすいでしょうか。社会制度を設計する立場としては妥当な方針かもしれません。現代法哲学に対してはホットな話題を提供してくれることでしょう。
本書は「実践」と銘打っているだけあって、街のゴミを減らすにはどうしたらよいかとか、街路の植木を盗まれないようにする方法とか、プラス思考による頼み事の仕方とか、具体的で細かい方策が例として取り上げられていて、NHKの「ご近所の底力」みたいな感じの読者へのサービス精神もあります。
たぶん著者たちも機械的に執筆の担当章を割るのではなく、何度も会って話をしながら書いたのではないかと思わせてくれる語り口です。授業でもいくつか使わせてもらおうと思います。
そういえば明後日から福岡で日本法哲学会があります。こんな面白い話が聞けるとは限りませんが、浮き世の義理で出席してきます。法哲学者としてのサンスティーン教授の他の本もこの機会に読んでみます。
(日経BP社2009年2200円+税)
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