曽野綾子『言い残された言葉』
世界中の貧困を見て歩いてきた人ですから、文章に桁外れの説得力があります。どこかで読んだ記憶もあるのですが、あらためて本書で深く頷かされたのは、「自分を迫害する者のために祈りなさい」という聖書の言葉です。
著者は「嫌った相手のために祈り、その人の幸福を願うというパラドックスが達成できるなら、その人は偉大な人物なのである」(246頁)と言います。「殺して復讐するのは簡単だ。しかしその結果はどうなるかね。お前がそれほどまでに嫌った相手の呪いで、お前は生涯を棒に振ることになるんだが、それでいいのかね」(同頁)とも。
私も嫌いな人はたくさんいますが、これからは祈るように努めたいと思います。
ただ、明らかにバカな人間が威張り散らして権力を振るう場合には、祈りが通じないような気がします。そのときは祈りは聖職者に任せて、戦うことにします。やはり偉大にはなれそうにありません。
(光文社文庫2010年552円+税)
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- ドイツ語で読む珠玉の短編(2026.06.23)
- 山本七平『小林秀雄の流儀』(2019.07.28)
- 田中圭一『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』(2017.02.20)
- 天外伺朗『宇宙の根っこにつながる生き方 そのしくみを知れば人生が変わる』(2017.02.19)
- 柴田昌治『「できる人」が会社を滅ぼす』(2016.12.30)
この記事へのコメントは終了しました。


コメント