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2010年12月16日 (木)

曽野綾子『言い残された言葉』

世界中の貧困を見て歩いてきた人ですから、文章に桁外れの説得力があります。どこかで読んだ記憶もあるのですが、あらためて本書で深く頷かされたのは、「自分を迫害する者のために祈りなさい」という聖書の言葉です。

著者は「嫌った相手のために祈り、その人の幸福を願うというパラドックスが達成できるなら、その人は偉大な人物なのである」(246頁)と言います。「殺して復讐するのは簡単だ。しかしその結果はどうなるかね。お前がそれほどまでに嫌った相手の呪いで、お前は生涯を棒に振ることになるんだが、それでいいのかね」(同頁)とも。

私も嫌いな人はたくさんいますが、これからは祈るように努めたいと思います。

ただ、明らかにバカな人間が威張り散らして権力を振るう場合には、祈りが通じないような気がします。そのときは祈りは聖職者に任せて、戦うことにします。やはり偉大にはなれそうにありません。

(光文社文庫2010年552円+税)

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