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2010年12月15日 (水)

ハイネ『ドイツ古典哲学の本質』伊東勉訳

あの詩人として知られるハイネがこんな面白い思想書を書いていたとは驚きです。フランス人の読者向けに人を食ったような語り口でドイツ思想史を説いています。随所に慧眼と毒舌が光っています。

本書を読むとドイツが本来持っていた汎神論的な民俗文化がキリスト教的文化とぶつかって軋轢を起こしてきたことが、そのままドイツの思想史・文化史になっていることがよくわかります。

ハイネ自身はとりわけルターやスピノザ、そしてカント、ヘーゲルの思想の中に汎神論的な要素を抽出して、それが理性と結びつくところに革命的意義を見出しています。面白い見方です。この立場からするとキリスト教には批判的なはずなのですが、原著者第二版の序文では回心したことが述べられていて、キリスト教の吸引力の強さについてもいろいろと考えさせられます。

回心してから根本的に書き直した本というのも読んでみたいものですが、著者の人生にはその時間は残されていなかったようです。まあ、『正統とは何か』のG.K.チェスタトンのような感じになっていたのかなという気もします。

いずれにしても、これを機会に今まで読んだことのなかったハイネの詩も探してみます。

(岩波文庫1973年520円)

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