勢古浩爾『負けない』
勝ち組とか負け組とかやたらとうるさいころがありましたが、そんな世間の風潮に流されず「負けるな」の一言で励ましてくれる本です。物真似芸人のコロッケが以前テレビで「あ・お・い・く・ま」って言っていましたが、「あせるな」「おごるな」「いばるな」「くさるな」「まけるな」の最初の文字を並べたものです。この最後の「負けるな」は効いていますよね。
本書もこれと似ていて、真面目に生きている人びとへの応援歌です。著者は言います。
「やさしさやまじめさは最後には強いんです。最初でも強いですが。それに強さが加わればもっと強い。あたりまえですけど。その証拠に「まじめ」はばかにされながらも、人類史を今に至るまで生き抜いてきています。誠実も勤勉も優しさも思いやりもそうです。粗暴や損得や支配や憎悪のなかで、よくぞいままで生き抜いているものです」(53頁)
著者のまなざしは優しいです。実は、親戚の大学生の兄弟が二人とも世間に出たがらなくてニート予備軍みたいになっているのですが、本書をすすめてみましょうか。少しでも元気を出してくれるといいのですが。
(ちくまプリマー新書2009年780円+税)

