朱川湊人『わくらば日記』
これもノスタルジックな味わいのあるホラーというより推理小説でしょうか。著者の世代と同じくらいなのでノスタルジックに感じるのかと思っていましたが、どうやら著者はどの時代を書いても同様に感じさせてくれるようです。要するに筆力の問題なのでしょう。
本書は昭和30年代の東京の荒川沿いの下町が舞台です。戦後を引きずりながら高度経済成長に突入していった世相が上手にとらえられています。この設定だと私の叔母くらいの年代ですので、今度読んでもらって感想を聞いてみたいものです。
主人公の女の子のお姉さんは透視能力があって、犯罪の現場に行ったり、犯人に出会ったりすると、事件が見えてしまうのです。人物造形にリアリティーがあるので、そんな人が実際にいそうな気がしてきます。
かなり怖いところもありますし、じーんと来る章もあります。いろいろと趣向が凝らされているのにはいつもながら感心させられます。
これは連載シリーズものなので、本書で全体は完結せず、続編があるようです。楽しみです。
(角川文庫平成21年552円+税)
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