ジョセフ・ラズ『権威としての法 ―法理学論集―』(深田三徳編)
ラズをちゃんと読んだのは初めてです。学者の論文集なので、面白いというものではありません。法理学というのは割と関西系の人が使いますが、法哲学と同じようなものです。物理学があるなら法理学もわかるでしょ、という感じのネーミングです。ただ、門外漢にはどちらも???でしょうね。
表題どおり、法についての思考というのは極端に言えば背景に権威があるかどうかで決まると言っているような本です。根拠となる論理を探ると非合理的なものが出てきて、それを新たに命名すると「権威」ということになるというわけです。しかし、それだったら権力とか国家といった問題はどうなるのかといったところには進みません。権威という概念自体が曖昧なので、そこで思考はストップしてしまいます。
まあ、ストップをあえてするのなら法哲学としては意味がありますが、徹底して存在の根底を問うていくべき哲学としてはちょっとダメなのではと思わされます。
この点ではハートやドゥオーキンにはオリジナリティがありますが、ラズはそうした先人に対する経緯を表して批評的立場に終始している感じなので、かえって小物感が漂ってしまいます。一般読者を想定した戦略に乏しいのかもしれませんが、この点でずいぶん損しています。論理記号を駆使していて読むのに難儀しますが、内容は単純です。
専門以外の人にはおすすめしません。
(勁草書房1994年)
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