土屋賢二『ツチヤの軽はずみ』
一度単行本が出た当時に買って読んで、その後単行本がどこかに行ってしまったので、今回文庫本で入手して二度目を読みました。読んだ記憶のあるエッセーもありましたが、やっぱり何度読んでも笑えます。
ところで、本書では思わず付箋を貼ってしまった箇所がありました。それが次の箇所です。
「哲学者というものは、寡黙で思索にふけっているものと想像されるかもしれないが。ギリシア哲学以来、哲学者はしゃべり続け、物別れに終わり続けてきた」
そうですよね。著者の本にしては珍しく冗談に紛れて正しいことが書いてあります。普通は冗談に冗談がどんどん飛躍しながら重なっていくのですが、これは本当のことです。
実際、ソクラテスなんか書かなかった人ですから、舌禍で私刑になったようなものです。まあ、本人は結構えげつなく政治に関わっていたという研究もありますが、おしゃべりだったことはたしかでしょう。
その意味では著者も文章からすると饒舌です。哲学者の伝統に連なっているのでしょう。饒舌で子供じみていながら難解を気取るというのが昨今の欧米の哲学者のはやりのようですが、難解の代わりに文章をこれだけ冗談で埋め尽くすというのは素晴らしいサービス精神です。
これでようやく著者の文庫本を制覇したので、次は『ツチヤ教授の哲学講義』を読んでみます。
(文春文庫2001年448円+税)
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- ドイツ語で読む珠玉の短編(2026.06.23)
- 山本七平『小林秀雄の流儀』(2019.07.28)
- 田中圭一『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』(2017.02.20)
- 天外伺朗『宇宙の根っこにつながる生き方 そのしくみを知れば人生が変わる』(2017.02.19)
- 柴田昌治『「できる人」が会社を滅ぼす』(2016.12.30)
この記事へのコメントは終了しました。


コメント