ピーノ・アプリーレ『愚か者ほど出世する』
サラリーマンにはこういう思いを抱く人が多いでしょう。ダーウィン進化論の向こうを張って冗談八割、本気二割くらいの配分で書かれた本です。しかし、自然科学的な裏付けとなりそうな事実もあるので、「そうかも」という気になります。中でも動物が人間に飼われると馬鹿になるというのは象徴的です。
世の中の人間はほとんど馬鹿で、文明が進むにしたがってその比率はどんどん増えており、賢い人は自然淘汰されるという著者の主張は、誰がそれを判定するのかという問題もありますが、何より笑えます。手の込んだ仕掛けで笑わせてくれるところは、サービス精神旺盛なイタリア人著者らしいところです。
著者の主張を少し挙げてみると、次のようになります。
「バカなやつほど生きのびる」
「リーダーは能なしのほうがいい」
「のさばるのはバカばかり」
「人間は寄れば寄るほどバカになる」
そうだそうだ、うちの職場もだと思う人は少なくないでしょう。私はアメリカの漫画『ディルバート』を思い出しました。『ディルバート』の著者によれば、バカの比率は99%だったと思います。著者のもとには世界中から「どうしてうちの会社の秘密を知っているんだ」という問い合わせが少なからず寄せられたということです。
こうしたバカの中には自分のことを優秀だと思っているバカも当然含まれます。これが一番たちが悪いと思います。権力を持たせたらとんでもないことになります。本当に優秀な人に対しては抜き難いコンプレックスがあるので、ポル・ポト政権みたいなことになります。もちろん単に無学で欲得ずくのバカも、知能に関してコンプレックスがあると、事情は同じです。
それにしても、クロマニヨン人よりもはるかに脳が大きかったと言われるネアンデルタール人たちは、いったいどんなことを考えたり、夢見たりしていたのでしょう。お墓に花を飾るくらいですから、故人を心優しくあの世に送り出していたのでしょうね。
(中央公論新社2003年1500円+税)
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