マッキンタイア『美徳なき時代』篠崎榮訳
昔大学院のゼミでこの原書を購読していたことがありますが、留学に出てしまってそれなりけりに待っていました。全体として非常によく構成された本です。部分的には眠たくなるところがありますが、これはこちらの教養がついていけないからです。
めっちゃ博識の著者ですが、その博識には理由もあります。著者は何が書かれているかをとりあげるだけではなくて、何が書かれていないのか、どんな問題を一連の思想家たちがこぞってとりあげないのか、ということを読み解くために、思想書だけでなく文学作品も含めて膨大な書物にあたらなければならないからです。
しかし、作品の細部に立ち寄り、寄り道しながらも、著者の論旨ははっきりしています。正義の根拠は共同体での生活と伝統にあるというのがそれです。また、物語論も、今までぼんやりとした関心しかありませんでしたが、あ、そういうことねと腑に落ちました。
これはロールズやノージックにとっても手ごわい相手だったでしょうね。なにしろ著者の方法はヘーゲルの立場に通じているからです。面白い人です。ほかの本も読んでみます。しかし、その前にノージックを再読しておきます。
(みすず書房1993年5500円+税)
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