降旗学『残酷な楽園〜ライフ・イズ・シット・サンドイッチ〜』
高山正之氏が引き合いに出していた本ですので、ネットの古書店で取り寄せて読んでみました。BOOK-OFF 105円のシールがついていたのはちょっとムッとさせられましたが、内容的には綿密に取材して書かれた力作です。名著です。
アボリジニの虐殺についてはニューサウスウェールズ州立図書館まで足を運んで、1928年のある日、ハンターの記録として、狐の横にアボリジニ17と記されている記録を見つけ出してきます。アボリジニの隔離政策も、現地できっちり取材しています。
また、第二次大戦中に日本の捕虜になったとき、日本兵に足首を砕かれて障害が残った老兵の話や、ヴェトナム戦争に参加して、ゲリラ戦の中のとてつもない恐怖から、帰還後に精神に異常を来すオーストラリア人が少なくないということにも驚かされました。
オーストラリアから参戦して死亡した兵士よりも、帰還兵で自殺した者の人数の方が多かったということです。悲惨な話が丹念に集めてあり、読後感は重たいのですが、読んでおいてよかったという気持ちになります。
本書は1997年の本なので、今日多少なりともアボリジニを巡る状況が好転しているかということや、本書の登場人物たちがその後どうなったのかということにも興味があります。続編があるなら読んでみようと思います。
(小学館1997年1500円+税)
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