森末伸行『法思想史概説』
正確に言葉を選んできっちりと考えられた文章ですが、語り口はあっさりしていて好感が持てます。教科書として書かれた三部作の一冊ですが、久しぶりに読み返してみて、あらためて得るところがありました。
昨日のブログでカントの『道徳形而上学原論』を勝手に『実践理性批判』のあとに書かれたと思い込んでいましたが、本書では、前者が3年早いことがしっかり指摘されていました。偶然ながら、ありがたいことです。
そして、そうして見てみると、『実践理性批判』の中の有名な、「汝の意志の格率がつねに同時に普遍的立法の原理とみなされるように行為せよ」という表現は、すでに『道徳形而上学原論』において何度も登場していることもわかりました。
なるほどカントおそるべしです。体系的に思考するという点で、本当に絵に描いたように律儀な思想家です。
それはともかく、思想史の概説書は往々にして退屈になりがちですが、本書は面白く読めます。著者の問題意識をストレートに反映していて、法思想家たちとの対話的な視点から書かれているからでしょう。
(中央大学出版部1994年)
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