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2011年3月29日 (火)

レイモンド・ワックス『1冊でわかる 法哲学』中山竜一・橋本祐子・松島裕一訳

翻訳者の中山先生から贈っていただきました。ありがたいことです。だからというわけではありませんが、ユニークな好著です。何より通読しやすいところがいいと思います。

一般に網羅的な入門書はいくら薄くても読みにくいものですが、本書は法哲学の基本問題を代表的な理論家の諸説を中心に解説するという仕方で成功しています。特に英米系の法思想家たちを解説した前半の出来がいいようです。

解説の内容も簡にして要を得たもので、思わず「うまいなあ」と声を上げたくなるくらいです。翻訳もしっかりした日本語で浮ついたところがありません。大学生にお勧めしたい入門書です。

ただ、今時「法哲学」に興味を持つ学生というのは、あまりいないかもしれません。私の学生時代もそうでしたが、このごろ学生を取り巻く環境が余計世知辛くなってきて、こんな就職口に少ない学問を志すなんてほとんど人生を捨ててかからなければならなくなってきています。まあ、旧帝大系法学部なら定員補充で何年に一度かは採用があるかなというくらいですから。

でも、そんなこととは別に、純粋にこの学問に興味を持ってくれる学生がいたら、是非読んで欲しい本の一冊です。中山先生による解説と「日本の読者のための読書案内」も親切で役に立ちます。

ただ、収録された写真の中にかなりショッキングなリンチ殺人現場のそれがあるのはあまり感心しません。いわゆる「奇妙な果実」です。やはり死体の写真は見たくないものです。

(岩波書店2011年1800円+税)

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