日下公人『日下公人が読む 2011年〜 日本と世界はこうなる』
いつもながら他人の気がつかないところに気がついて、他人の言わないことをスパッと言ってのける人です。本書でも相変わらず冴えています。出産と育児手当を1000万円くらい出してはどうかとか(94頁)、冗談でも思いつきません。
しかし、思いつきだけでなく、集めてくる数字にも驚かされます。アメリカの2001年の米国愛国者法により2万人のアラブ系市民がいきなり逮捕されて、一年後にその9割が釈放された(110−111頁)とか、19世紀イギリスの海運業での船員の年間死亡率が2割を超えていた(180頁)とか(船員が航海中に死んでくれると雇い主は給料を払わなくてすむから)とか、驚かずにはいられません。
一番「へぇーっ」と思わされたのは、プルトニウム爆弾というのは10年たつ度劣化してしまうので、在庫の半分を捨ててしまおうというのがオバマ大統領の核軍縮のねらいだという指摘です(118頁)。なるほど。オバマが平和主義者なんかでないことはアフガニスタンの状況を見ているとわかるはずなのですが、ナイーブな日本人はころっとだまされてしまいます。
(WAC2010年1238円+税)
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