« G・トイプナー編『ルーマン 法と正義のパラドクス』 | トップページ | 木田元『哲学は人生の役に立つのか』 »

2011年3月19日 (土)

木田元『私の読書遍歴―猿飛佐助からハイデガーへ―』

著者の人生と読書遍歴がまとめられています。ほかの本と重なるところも結構ありますが、著者の人生が波乱万丈で何度読んでも面白いです。

読書についても、改めていい本を紹介してもらった感じがします。坂口安吾の「勉強記」という短編や、斉藤茂吉歌集、太宰治の滑稽小説、山田風太郎の明治小説集、メルロ=ポンティ『行動の構造』などはぜひ読んでみるつもりです。

本書ではハイデガーについての著者の正直な気持ちと考えが述べられていて、好感が持てます。とにかくハイデガーの人柄の悪さには辟易しているらしく(知人や同僚をナチスに密告したり、いくら美しかったとはいえ当時18~19歳のハンナ・アーレントと不倫したりと)「知れば知るほど、私はこの人が嫌いになる」と言います(私は特に密告は許せません。こりゃあ人間のクズでしょう)。「しかし、その著作や講義録を読むと、やはりすごいと思う。古典的テキストを読むその鋭利な読み方や、その構想の壮大さに、深く震撼されるのである」(179頁)とも。

ハイデガーの『存在と時間』を読むために猛勉強して大学に進んだ著者ですから、やはりその思い入れにはひとかたならぬところがあるのでしょう。でも、私はハイデガーにはまったく義理がないので、よい読者ではありません。坂田徳男の影響もあって、その思想についてもハイデガーには冷淡なのです。

でも、著者のエッセーは大好きです。今後も読んでいきます。

そうそう、マッハに発し、フッサールやシェーラー経由でメルロ=ポンティに行く系譜には私も感心がありますので、著者の『マッハとニーチェ―世紀転換期思想史』はぜひとも読んでおきたいと思っています。

(岩波現代文庫2010年920円+税)

|

« G・トイプナー編『ルーマン 法と正義のパラドクス』 | トップページ | 木田元『哲学は人生の役に立つのか』 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。