福島香織『潜入ルポ 中国の女 エイズ売春婦から大富豪まで』
タイトルどおり本当にいろんなところに潜入したルポです。著者は女性には入りづらいところも入っていきますし、苦界から富豪まで、また、反体制活動家にも直接会って取材しています。見事です。ジャーナリストの鑑ですね。
ふだん私は中国人留学生たちのお世話をしていますが、日本に入ってくる学生たちは富裕層の部類に入ることが、本書を読むとよくわかります。最下層の人びとはそもそも故郷を離れて海を渡ることはできませんし。
それにしても中国は現実には奴隷制を残しているのではないかと思われるくらい、貧富の差と差別が激しいですね。男女差別も民族差別も一時の東ヨーロッパ一党独裁体制のそれよりもはるかに苛烈な気がします。
中国が社会主義を捨てて(経済的にはとうにそうなっていますが)国づくりをするとき、いったいどのような制度設計をするかということは、おそらく党の中枢ではかなり研究が進んでいるとは思いますが、相当な難問だろうと思います。13億近い人口ですしね。でも、これを真剣に考えておかないと、いずれ来るバブル崩壊のとき、想像もつかない混乱に陥ると思います。
話を戻します。本書はいろいろとホットな中国事情を教えてくれる好著です。うげーっと感じさせられるエグい話も満載ですが、書き方は抑制が効いていて品がいいと思います。そして、一気に読ませてくれます。勉強になりました。
(文藝春秋2011年1500円+税)
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- ドイツ語で読む珠玉の短編(2026.06.23)
- 山本七平『小林秀雄の流儀』(2019.07.28)
- 田中圭一『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』(2017.02.20)
- 天外伺朗『宇宙の根っこにつながる生き方 そのしくみを知れば人生が変わる』(2017.02.19)
- 柴田昌治『「できる人」が会社を滅ぼす』(2016.12.30)
この記事へのコメントは終了しました。


コメント