郷原信郎『組織の思考が止まるとき 「法令遵守」から「ルールの創造」へ』
法律家が書いたとは思えないほど法律解釈学臭さのない本でした。創造的な組織マネジメントへの提言が光っています。思考が停止しかかっている組織に属している者にとって、実にためになる本でした。
著者のイメージは実にクリアで、実際にわかりやすい図も載っていますが、このタイプの頭脳は新たな制度を作るときに絶大な力を発揮すると思います。先日読んだ小島寛之『数学的思考』も、そもそも著者の薦めで読んだ本でしたが、確かに発想の点で共通する特徴があるように感じました。
もう一人著者と似たタイプの頭の使い方をする人に畑中洋太郎がいると思います。分解して総合する過程で実に効果的に図解を用いる人です。この3人の本は本棚の同じ場所に並べておこうかと思います。
それにつけても、全国の私立大学の状況は、本書の提唱する方向と正反対に向かっているような気がして仕方ありません。しっかり結果も伴っていますし。私学はいずこも同じ秋の夕暮れとはいうものの、数字を見るとそのあまりの正直さにぎょっとします。正しいことは必ずしも結果に結びつかないのに、間違ったことをするとその通りに結果が出てくるからです。
しかしもっと驚くのは、そんな結果を見てもあいかわらず危機意識のない教職員というのが大勢いることです。もうすぐ楽園追放になるってのに、どうしたものでしょうね。
(毎日新聞社2011年1500円+税)
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