『日本の名著20 三浦梅園』山田慶児責任編集
三浦梅園は江戸時代に自分の頭で徹底的に考えた思想家です。これができる人は実は当時も今もほとんどいません。誰かのあるいは何かの権威にすがって他を睥睨するのに忙しく、考えることがおろそかになっている知識人なら星の数ほどいます。
私自身、そんな人間にだけはなるまいと思っていますが、では梅園のようになれるかといえば、それもまた至難の業です。でも、そうありたいとは思っています。
梅園の考える姿勢は西洋の知識人ではフランシス・ベーコンが一番近い気がします。自然現象に取り組む姿勢には共通するところが多いと感じました。特に考え方や物の見方の習慣ないしは癖=習気(じっき)という考え方は、ベーコンの言う「イドラ」とよく似ています。
ただ、本書は自然科学についての文章が中心で、哲学的な記述は解説の方にまとめられています。その点では岩波文庫の『自然哲学論集』の方がいいかもしれません。
梅園の時代はすでに地動説が紹介されていましたが、梅園は天動説にこだわっています。この点では独自に地動説や進化論を唱えた山片蟠桃の本も読んでみようと思います。
(中央公論社1982年)
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