渡部昇一『知的余生の方法』
80歳を過ぎても現役で書き続けられるのはすごいことですが、さすがにかつての『知的生活の方法』も「余生」の方法になってきました。ご本人としては95歳まで生きて、自分の生死に全くこだわりがなくなる境地に達したいとのことですが、十分可能な気がします。
例によって著者らしくいろんな有益な知識が惜しげもなく披露されています。細部にへぇー、と思わされることがたくさん書かれています。イルカが浜に打ち上げられると自分の体重のために呼吸ができなくなって死んでしまうとか、ルソーの言う「自然に還れ」の自然とは「貴族の宮廷」程度の自然だったとかです。
人生も秋にさしかかると物事がよく見えるようになるというのは、なるほどそうかもしれないと、秋に差し掛かった自分自身のことを顧みてもそう思います。ただ、現代の日本人の年齢は7掛けくらいでちょうどいいそうですので、そう思うとまだ自分は30代なので、まだまだ成熟の余地がありそうです。楽しみということにしておきましょう。
以前の『知的生活の方法』が出たのが1976年ということですから、私が同書を読んだ1977年はまだ著者も若かったのですね。この本もそれなりに売れると思いますが、こんなに息の長い書き手はそう多くないと思います。それだけでも大したものです。普段から自己鍛錬を欠かさない人だからでしょうね。見習わなければ。
(新潮新書2010年720円+税)
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