川上弘美『真鶴』
純文学の素みたいな小説です。源氏物語以来の生き霊や死霊が関わってくるお話の伝統が生きているようです。世阿弥のような、あるいはむしろ禅竹のような、ポストモダンのような不思議な味わいの文学です。
人間の曰く言い難い闇の部分をすくい取るところは、あの裏源氏ともいうべき秋本松代の『七人みさき』とも共鳴しているように感じました。こちらの方がずっと読みやすいですが。
思えばこういう作品は久しく読んでいませんでしたが、ここまで力のある作家がそもそもあまりいないということでもあります。文章も独特で美しいと思います。
本書は「きっこの日記」で絶賛されていたので読んでみたのですが、なるほど確かにいい作品でした。他の作品もこれから読んでみます。
(文春文庫2009年514円+税)
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