群ようこ『人生勉強』
いつもながら抜群の人間観察力と抜群の描写力が光ります。一応私小説ということになっていますが、エッセーにフィクションが加わっているのでしょうか。
それにしてもいろんな困った人たちが出てくるもので、厚かましい中年のおばさんなんてのは、悪意も隠さないので怖いくらいです。印象的なのは、友人がつかまえてくれたタクシーに猛然とダッシュして、友人が著者たちに向って数歩進んだところで隙を見て乗り込んでしまう中年女性二人組でした。
知人から預かった、やたらと人間化してしまった猫の話も傑作でした。でもやはり最後には猫は猫なのです。著者が昔飼っていた猫のトラの話も少し出てきて、なつかしかったです。本棚を探してもその本が見当たらないので、また古書店で仕入れておきましょう。
著者の文章は絶対といっていいほど難しい看護や外来語が出てこなくて、言い回しも気取ったところが全くありませんが、勢いがあって切れ味抜群です。何とか著者にあやかって、私も切れ味のいい文章を書きたいものです。どうやら文章そのものを真似てもはじまらないようです。おそらく著者独特の好奇心に満ちたものの見方にカギがあるのでしょう。
(幻冬舎文庫平成10年495円+税)
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