大前研一『新版「知の衰退」からいかに脱出するか?』
いまさらながら、へぇー、と感心させられる話として、日本人は死ぬとき一人当たり3500万円の貯金を残して死んでいくことや、日本の就農者の平均年齢が65歳を超えていること、あるいは、かつてわが国の首相が、国民を怒らせてはまずいという著者の進言に「大前さん、わが国は愚民政策を施しているから大丈夫だよ」(284頁)と答えたことなどがあります。
本書では日本人の集団IQの低さとそこからの脱出についての具体的な方策が述べられていますが、国民がこれだけ内向きで無気力になっていると、どうしようもないのではないかという気がしてきます。
そして、何より国家が愚民政策を採り続けてきた見事な成果が如実に現れていることがわかります。各個人が目覚めて自衛するしかないようです。しかし、財テクに関しては私自身頭がまるっきり働かないので、正直うまくやれる気がしません。どうしましょうね。
それはそうと、新版の増補部分でも、尖閣や北方領土問題での前原外務大臣の拙劣な動きがわかります。がっかりする時事ネタは増えていますが、日本人のメンタリティーは情緒的なまま一向に変化していないようです。
著者の具体的提言はどれも魅力的で効果的だと思いますが、われわれの保守的メンタリティーが変わらなければどうしようもない気がして、臍を噛む思いです。もちろんこれは誰よりも著者が一番感じていることだと思いますが。
(光文社知恵の森文庫2011年838円+税)
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