岡野雅行『俺の感性が羅針盤だ! 人生の答案用紙にナビはない』
著者の本はどれを読んでもだいたい同じようなことが書いてあるのですが、それにもかかわらず何度読んでも面白いです。本書はインタビューを構成したもので、構成担当の橋本裕之氏の力量も優れているのだろうと思います。
同じ話を何度読んでも飽きないのは、まるで落語家の噺のようですが、そんな雰囲気が出るように、全体がうまく組み立てられています。
印象に残った言葉は以下のとおりです。
「社長だ、経営者だって言ってても、肝心なときに『責任は俺が取る』とはっきり言えないリーダーが多いんだよ。どっかに逃げ道をつくったり、部下におっ被せようとしたりね。失敗したときの保身を考えてか、すべて自分の決断にするんじゃなくて、何となくぼやかすんだよ。あれは最低だね」(107頁)
「モノづくりは何もできないで、カネ勘定だけが経営だと思ってるやつが多いんじゃないか。そういうやつは見込みがないね。社長の頭の中がおカネとコストのことばっかりになっている会社は危ういよ」(179頁)
全国の社長さんたちしっかりしてください。実際にはこんな会社が少なくないですが。自らの引き起こした重大な問題に「責任は感じるけど、取る気はない」と公言する人もいるくらいですから。もちろん危うい会社の話です。それから、
「人づきあいの一番のポイントは、まず『スキを見せる』ってことだ。・・・スキは愛嬌なんだよ。相手は気楽に入ってきてくれて、『しょうがねぇな』って言いながら何かしてやりたくなるんだ。・・・ナメてかかってくる相手には『ナメたきゃ好きなだけナメてくれ。ナメなきゃ俺の味がわからないだろ』ぐらいに思っていればいいんだよ」(188-189頁)
学歴や社会的地位しか自慢するものがない人ほど、基本的に他人をナメてかかってくるような気がします。エリート官僚や大学教授にはこの手の人間がしばしば見受けられます。まともな人もいるんですけど、そういう同僚に学ぶ気はハナからなさそうです。
また、「話し方の五つの心得」(195頁)として、
1 相手を「喜ばす」こと
2 相手を「傷つけない」こと
3 相手によって「態度を変えない」こと
4 「話題を豊富に」入れること
5 「大きな声で」喋ること
とあります。蓋し至言です。最後の「大きな声」というのは特に大事です。これを入れるところが著者らしいと思います。ところで、この5つの心得を裏返すと、とんでもない嫌な野郎になっちゃいますね。実際いますけど。
(こう書房2010年1,400円+税)
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