木田元『現代の哲学』
最初に出版されたのが1969年で、その後1991年に文庫化されています。文庫でも今年まで着実に版を重ねていて、順調な売れ行きを示しています。息が長いのはそれだけ内容が秀でているからです。
現代哲学のメインストリームがうまく勘所を押さえながら書かれていますので、今まで適当に読み散らかしていた哲学者たちがまとめてとらえることができるだけでなく、著者独自の読み方が今でも新鮮です。マルクスとルカーチの評価は個人的には特に新鮮でした。
ただ、本来の原稿が総花的な現代哲学の解説を意図していないため、英米分析哲学やプラグマティズムは触れられていません。あとがきで補足の意味でシェーラーやマッハのことが少し触れられていましたが、著者の他の本には詳述されていたりもしますので、ま、いっかという気もします。むしろ、かえって教科書的なものを書こうとしていなかったのが良かったのかもしれません。
それはそうと、あらためて図書館にあるシェーラー全集を借りて読んでみる気になってきました。
(講談社学術文庫1991年880円+税)
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