群ようこ『それ行け! トシコさん』
ありそうもないけれどありそうな話で、結果として主人公と同じような境遇にいる人も少なくないような気がします。登場人物はみんな身勝手でいながら、あるいはそれゆえに貧乏くじを引いてしまっていて、それでもとにかく仕方ないからがんばっているという人びとです。
主人公のトシコさんは6人兄弟の末っ子と結婚したものの、上の5人の兄弟が次々と亡くなり、寝たきりの舅と意地悪な姑と同居しなくてはいけなくなります。舅の介護と姑のハマってしまった新興宗教のアルミ鍋を叩くお祈りの騒音に悩まされながら、トシコさんはぐれそうな娘との緊張状態の中をけなげに生き抜いています。
というわけで、他人事だから笑えるよね、という悲惨な話がこれでもかと繰り広げられますが、物語は最後にちょっとずつ事態が好転の兆しを見せはじめるところで終わります。このままだったら救いがないのも確かですが、なかなかいい読後感です。
(角川文庫平成19年476円)
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